京都三熊野のひとつ「新熊野神社」は、熊野信仰の厚い後白河上皇が創建。上皇お手植えと伝わる推定樹齢900年の大楠は、健康長寿のご利益で知られ、特にお腹の病気に霊験あらたか。巨大な大樟のご神木は楠大権現と崇められ、間近で参拝すればパワーをもらえます。
また新熊野神社は、「能楽発祥の地」とされ芸能上達のご利益もあり、御神鳥である八咫烏の交通安全のご利益や、結びの神の縁結びのご利益などもいだたける神社です。
目次
新熊野神社のご利益
- 健康長寿・病魔退散(特にお腹)
- 境内にある大樟は、樹齢900年と老木でありながら今もなお成長し続けていることから、健康長寿や病魔退散のご利益があるとされています。また、この木を植えた後白河上皇はお腹の病を患っていたが、その病がよくなったこともあり、特にお腹の病にご利益があるとされています。
- 芸能上達
- 新熊野神社は「能楽発祥の地」であり、能楽の祖の観阿弥・世阿弥父子が猿楽演能を行ったことから芸能上達のご利益があるとされています。
- 交通安全
- 御神鳥である八咫烏は、神武東征(神武天皇が日本という国を建国)の際に、高皇産霊尊(たかみむすひのみこと)によって神武天皇のもとに遣わされ、熊野国から大和国への道案内をしたとされることから交通安全のご利益があるとされています。
- 縁結び
- ご祭神である熊野牟須美大神は、牟須美(むすび)=結びにつながることから「結びの神」としても夫婦円満、恋愛成就のご利益があるとされています。
新熊野神社のお守り
健康長寿のお守り
赤・緑・紫・ベージュの4色。
身代わりおカラスさん
不幸や災難を身代わりとなり引き受けてくれる八咫烏の置物。
新熊野神社のご祈祷
新熊野神社では、御祈祷内容を聞いて宮司さんがその内容にあった祝詞(のりと)を作文し御祈祷していただけます。
新熊野神社の御朱印
新熊野神社の部分が烏文字(からすもじ)になっているのが特徴です。御朱印は全4種類ありましたが、新熊野神社のシンボル、八咫烏(やたがらす)とくすの木が入ったものを選びました。
4種類の御朱印は、新熊野神社 or 熊野社 + 八咫烏 + くすのき or 能面 の組み合わせ。
熊野社は新熊野神社の旧社名、シンボルの八咫烏やくすの木は分かりますが、なぜ能面?これは、新熊野神社は「能楽発祥の地」だからです。
【場所】授与所
【受付時間】09:00~17:00
新熊野神社の見どころ
新熊野神社(いまくまのじんじゃ)は、後白河上皇が平清盛・重盛父子に命じ造営されました。後白河上皇は熊野権現(くまのごんげん)を信仰しておられ、熊野詣を生涯で34回も行ったほど。
しかし京の都から伊国(現和歌山県)まではとても遠いので、後白河上皇の住まいである法住寺殿(法住寺)の近くに熊野の神様、熊野権現(くまのごんげん)の分霊をお祀りしたそうです。
「新熊野神社」は京都三熊野のひとつ
京都三熊野(きょうとさんくまの)と言われている「新熊野神社」「京都熊野神社」「熊野若王子神社」は、後白河上皇ゆかりの神社で、この三社を詣でるのが京都熊野詣です。和歌山の熊野までは行けずとも、京都で熊野詣ができるということです。後白河上皇の熊野信仰がすごい。
京都熊野神社の見どころや詳細は以下記事にて。
熊野若王子神社の見どころや詳細は以下記事にて。
新熊野神社の本殿は「熊野造り」
新熊野神社のご本殿は、和歌山県にある熊野本宮証誠殿と同じ「熊野造り」。京都市の重要文化財に指定されています。
拝殿で手を合わせるときに「鈴」を鳴らすと、それだけでお清めお祓いを受けているような感覚になりますよ。
ご祭神は「現世利益」をもたらしてくれる神様
新熊野神社のご祭神は熊野牟須美大神(くまのむすびのおおかみ)、日本神話でいうところの伊弉冉尊(いざなみのみこと)で、仏様でいうところの千手観音様です。
熊野牟須美大神は、熊野那智大社の主祭神で「誕生や死」などこの世に存在するあらゆる生命の根源を司っている神、牟須美(むすび)=結びにつながることから「結びの神」として、夫婦円満や恋愛成就に功徳があるとも言われています。
伊弉冉尊(いざなみのみこと)は、命の蘇り(黄泉帰り)を司るみそぎの神。千手観音様は千の手と千の眼をもち、悩み苦しむ人に救いの手を差し伸べてくださる慈悲深い救いの仏様です。
”現世利益”をもたらしてくれる神様で、この世での病気治癒、健康長寿など様々な所願成就ご利益を授かれると訪れる人も多い。
阿吽の八咫烏(やたがらす)
新熊野神社のご本殿の屋根の上には「熊野の神の化身」である、御神鳥の八咫烏(やたがらす)がいます。よく見ると向かって左はくちばしを閉じ、右はくちばしが開いてる、阿吽の八咫烏です。
三本足の八咫烏は「勝利の神」や「導きの神」としても有名で、熊野では「身代わりお烏さん」と呼び、不幸や災難を身代わりとなり引き受けてくれる烏神とも言われているそうです。
また、八咫烏は神武東征(神武天皇が日本という国を建国)の際に、高皇産霊尊(たかみむすひのみこと)によって神武天皇のもとに遣わされ、熊野国から大和国への道案内をしたとされることから「交通安全」のご利益でも知られている御神鳥です。
そんな御神鳥「八咫烏」の絵馬が新熊野神社にはたくさんありました。
健康長寿、特にお腹の病に良いと言われている新熊野神社だけあって、「お腹の調子が良くなるように」という願いや、みんなの健康を祈った絵馬などが奉納されていました。
ご神木の椥(なぎ)
昔は椥の名所として知られていた新熊野神社は、「椥の宮」とも言われていました。本殿前の両脇にあるのがご神木の椥(なぎ)です。
椥の木の葉は、静脈が縦にはいっていることから、引っ張っても切れないため「縁が切れない」といわれます。また、実が二つ並んで実ることから、縁結びや夫婦円満のご利益があるといわれ、古くから縁起の良い木として知られています。
さらに椥には、罪穢れを祓い、災いや悪魔をなぎ払うと古来より信じられており、熊野詣の時には道中の災いや邪悪なものから身を守るお守りとして椥の葉を忍ばせていたそうです。
このご神木の椥の木の苗木を授与していたくこともできます。「幸せを呼ぶ」観葉植物としても人気ですね。
境内の一角には令和の天皇陛下(現天皇陛下)が二十歳になられたときに植樹された椥の木もありました。
立札に今上天皇とあり、令和元年5月1日と日付けがありましたので、現天皇陛下である徳仁(なるひと)さまが植樹されたものということになります。
成長し続ける樹齢900年の大樟さん
後白河上皇が紀州の国(現和歌山県)より運んできて植えられた、お手植えの「大樟(おおくすのき)さん」。樟社というお社に祀られており、その樹齢はなんと900年、京都市の天然記念物に指定されています。「健康長寿」や「病魔退散」のご利益があるとして広く知られています。また「お腹の神様」とも呼ばれています。
祀られているのは樟龍辧財天(樟大権現)です。拝殿の鈴はよくある大きな鈴が一つついているのではなく、小さな鈴がたくさんついています。
鈴の音も一つの鈴とは違い、シャリンシャリンシャリンと高音の清々しい音が鳴り響き、お祓いを受けているようで、悪いものを祓い、心身ともに清められる感じがします。ご本殿の拝殿の鈴も同じような鈴になっています。
手を合わせたら次は拝殿の脇に大樟さんの「さすり木」があります。
「さすり木」は、大樟の一部であり、そのご利益をさすっていただきます。まず「さすり木」をさすり、次に自分の体の悪い所をさすれば良くなると言われています。
そしてさらに、手水舎の横に樟大権現の参拝入口があります。
参拝自由なのでぜひ中に入ってみてください。その大樟の大きさに圧倒されてしまいます。
写真に納まりきらない巨木で、900年もの間、成長し続けている長寿の老木「大樟さん」は驚異の成長力・生命力も持っています。病魔も逃げ去っていくほどのパワーを持った神の木、まさにご神木です。
「大樟さん」は「影向(ようごう)の大楠」であり、熊野の神様が天から降り立つ、降臨(こうりん)する木ですからそのパワーは計り知れません。
そしてこの木を植えた後白河上皇はお腹の病を患っておられましたが、その病気がよくなったこともあり、特にお腹の病に良いと言われ「お腹の神様」とも言われています。
新熊野神社の神々のお社
上之社(かみのやしろ)
- ご祭神
- 速玉之男大神(はやたまのをのおおかみ)=伊弉諾尊(いざなぎのみこと)
- 熊野家津御子大神(くまのけつみこのおおかみ)=素盞嗚尊(すさのをのみこと)
熊野家津御子大神は熊野本宮大社の主祭神で、「家津」とは「食物」という意味で、「食物の神」です。
中之社(なかのやしろ)
- ご祭神
- 天忍穂耳尊(あめのおしほみみのみこと)
- 瓊々杵尊(ににぎのみこと)
- 彦穂々出見尊(ひこほほでみのみこと)
- 鵜茅草葺不合尊(うかやふきあえずのみこと)
この神々は天照大神から神武天皇につながる4代の神々です。
若宮社
- ご祭神
- 皇祖天照大神(あまてらすおおみかみ)
ご祭神の皇祖天照大神は、皇室の祖とされる神様です。
下之社
- ご祭神
- 穀物と養蚕の神:稚産霊命(わくむすびのみこと)
- 火の神:軻遇突智命(かぐつちのみこと)
- 土の神:埴山姫命(はにやまひめのみこと)
- 水の神:彌都波能売命(みづはめのみこと)
この四柱の神は新熊野神社のご祭神である熊野牟須美大神から化成(分身)した神々で、自然の恵みを象徴する神々が祀られています。
将軍が感銘を受けた「能楽発祥の地」
能楽の祖の観阿弥・世阿弥父子が猿楽(さるがく)を披露していたところ、それを見た室町幕府第3代将軍である足利義満が感銘を受け、観阿弥・世阿弥と名乗らせ、父子を室町御所に連れ帰り自身の側近に加えた。
その観阿弥・世阿弥父子が猿楽(さるがく)を披露していた場所が新熊野神社で「能楽大成・機縁の地」と言われています。
足利義満は当時まだ12歳であったとされる世阿弥のことがお気に入りで、可愛がっていたそうです。
世阿弥が将軍に傘をさしている様子が描かれていますね。
京の熊野古道
熊野古道は、和歌山県の熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)へと通じる参詣道のことですが、新熊野神社境内に熊野古道のような「京の熊野古道」があります。入口は中之社の横にあります。
看板の下の方に「和歌山の熊野古道の雰囲気を感じてください」とあります。京の熊野古道には木に神々が描かれたものがたくさんあります。
それぞれ説明がありますので、ゆっくりと楽しんでください。
新熊野神社の由緒
永暦元年(1160年)、後白河法皇によって三十三間堂の東側にある法住寺の鎮守社として、新熊野神社が創建されました。その後350年もの長い間繁栄を極めたが、応仁の乱以降は度々の戦火に見舞われ、一時は廃絶同様の状態となった。江戸時代初期に後水尾天皇の中宮東福門院(3代将軍徳川家光の妹)によって再建され、現在の本殿は寛文13年(1663)聖護院宮道寛親王(後水尾上皇の皇子)によって修復されたものです。
新熊野神社のご祭神
- ご祭神
- 伊邪那美命(いざなみのみこと)別名:熊野牟須美大神(くまのむすびのおおかみ)
新熊野神社の基本情報
- 名称(よみがな)
- 新熊野神社(いまくまのじんじゃ)
- 住所
- 〒605-0971 京都市東山区今熊野椥ノ森町42
- 駐車場
- あり 約5台
- 参拝・拝観時間
- 受付時間/09:00~17:00
- 参拝・拝観料
- 無料
- 公式ホームページ
- http://imakumanojinja.or.jp/
新熊野神社のアクセス
- 公共交通機関の場合
- 市バス「今熊野」下車、徒歩3分
- JR奈良線・京阪本線「東福寺」下車、徒歩7分
新熊野神社の地図
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